茶道具

土風炉の制作に力を入れていた訳は

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 千家流の式正(正式)な風炉は土風炉です。その為に表千家では土風炉には正式な灰形として《鱗灰》をする事が約束となっています。ただ、鱗灰はよくよく灰と灰形に慣れた方で無いと容易にはできません。で、いきおい表千家の方々は土風炉を避けて、唐銅風炉や切合せ風炉を求める方が多くなります。しかしながら、正式な風炉である土風炉を一つはお持ち頂きたいと考えます。

 さて、裏千家の方はと申しますと、真のお点前で使用する以外は鱗灰はせず、様々な灰形が出来ますしいつでも使用が出来ます。歴代のお家元様にも僅かに唐銅風炉の好み物がありますが、正式には土風炉を使用するのが習いです。お家元様でも好物と切合風炉以外は土風炉しかお使いになられませんので、裏千家の方は先ずは土風炉を持たれれば間違いがありません。

 正式な風炉であるのにお稽古などで土風炉を使用されている方が少ないのには訳があります。まず、油煙風炉とも呼ばれる利休時代からも使われていた土風炉が高価である事。地元の土風炉師でもあります山崎宗元氏の作品はとても品が良く素敵な風炉ばかりですが、通常 七十万円~百万円前後の価格です。九州の伊藤征隆氏の土風炉でも一尺一寸の通常の品は小売価格で三十万円以上はしています。小売店さんからお求めになられた場合は実際には若干の値引きがあると思いますが、それでもお稽古に使用するには少々お高めかもしれません。また、それらの土風炉は低温で焼かれるために、趣きはあるのですが柔らかてく欠け易いという点もありお稽古使いには気を使います。

 お稽古用の安価な土風炉に素焼きの土風炉に合成漆を塗ったものもあります。しかし、炭火の熱でどうしても漆の部分が剥離してきます。私も以前は漆塗りの土風炉も稽古で使用してみましたが、痛みがあまりにひどく買換えを何度か繰り返した事があります。

 数年前より、懇意にしている窯元の方に土風炉制作を依頼していました。高温で仕上げる為に、歪みます・切れます・ムラも出ます…なかなか思い通りの作が仕上がってきません。今年に入りようやく見えてきました…これならいける…色・艶・形・強度…そして価格も何とか抑えて。

  仕上がりました crying 自信作!・・・と言っても、私はうるさく口出しばかりでしたので、窯元の方には感謝いたしております。

五代大樋 柿の蔕写茶碗

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 『桑原宗宣』 と聞いてもご存知の方は少ないかと思います。写真の茶碗は 五代大樋長左衛門作の飴釉の掛けられた《柿の蔕茶碗》の写しで、箱書を桑原宗宣が行っています。

      『 柿の蔕写しとあれど  これは又  上手に出来し  見事なもの哉 』

 五代大樋長左衛門は三代目以降名乗った勘兵衛とも称し、歴代大樋の中でも名工として有名です。写真の茶碗も希少な作品で良く出来た茶碗です。

 箱書をした桑原宗宣とは、加賀前田家の家老八家の中の一家であった奥村家の茶道指南の人で、大変優れた茶人であったそうです。 裏千家十一代 玄々斎の嫡男であった一如斎は、類希なる才能を持ちながらも十七歳の若さで亡くなります。 玄々斎は悲嘆にくれながらも裏千家存続の為に動 き、先ず最初に婿養子としての白羽の矢が立てられたのがこの 桑原宗宣 であったと云われています。 最終的にはこの話がまとまる事は無かったのですが、宗宣の力量を推し量る事が出来ます。

 

寒雉の釜 Ⅱ

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『先週、骨董市で8代の寒雉の炉釜を買ったよ。見るかい?』

 「はい、見せて下さい。」

先ず極めの付いた箱の蓋を見せて頂きました。

その後、A氏が木箱から先ず釜の蓋を取り出した時に・・・

 ( ンー?あの蓋は何か変だゾ!寒雉の釜にあの蓋は似合わない!)

その後、釜本体も出てきて見せて頂く事に。

 「Aさん。この釜は寒雉作では無いです。」

 『えー!そんな事はないだろ!先代の寒雉の極めもあるし。』

  「極めの箱と中身が入れ替わっているかもしれませんよ。」

納得出来ないご様子なので、結局A氏からその炉釜を預り、翌日 寒雉氏のお宅へ伺いました。

たまたま寒雉氏が留守で預けてきましたが、数十分後に携帯へ着信が。

『預った釜は私共の作では無いです』

 「やはり、そうですよね~・・・」

『極めも良く出来ていますけれども違います。』

 「えっ。。。そうなんですか?」

『極め書きの字はそっくりに上手に書いてありますけれども違います。判も親父の本物よりも僅かに小さいです。』

 「そこまでは気が付きませんでした。勉強になりました。」

勿論、直ぐに寒雉氏のお宅へ行き釜をお返し頂き。その日の内にA氏の下へ伺いました。

・・・・・10年近くも前の話になります。

 

寒雉の釜 Ⅰ

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 右の釜は先般通販のページにアップした 初代宮崎寒雉作の福船釜です(その後、お求めの方がお出でになられ削除しました)。一度当代(十四代目) の寒雉氏に見て頂こうと持って行きました。 
 『当家の釜に間違いが無いよ。極箱も親父 十三代)の物だし、蓋も良い蓋が付いているね~・・・・ちょっと待っていて。』 と言われて奥に入られ。
 『家にある初代の釜です。』 と、全く同じ形と地紋の釜を持ってこられました。
暫らく雑談をして宮崎家をあとにしました。
 
宮崎寒雉家は当地・金沢を代表する歴史ある茶の湯釜師の家柄で、全国にもその名が知られています。 その為に贋物も時折目にしますが、一目見るなり明らかに贋物という品も中にはあります。
 
『今度の茶会でこの寒雉さんの お家元好みの釜 を使おうと思うのだけれども。お家元の箱も付いているし。』
 「 んー…先生・・・申し上げ難いのですが、その釜は贋物です。お家元の箱書も贋物です。」
『あらッ!!!』 と絶句をされましたが、
 「〝お家元好写 〟となっていて、お家元(贋物)の箱が無ければ良いのですけれども・・・。」
 「お求めになられたお店に返された方が良いですよ。」
その後、その釜をどの様にされたかは聞いておりません。

 

素焼きの五徳?

関東の某茶道具屋さんよりご質問の電話がありました。

『眉風炉に素焼きの五徳を使用しますか? 因みにお客さまは裏千家流の方です。』 と

 「煎茶の方では素焼きの五徳は使用しますが・・・。底の部分が一方欠けていますか?」

『いえ、丸いです。』

 「茶道の五徳は基本的には鉄で、前瓦を差し込めるように前部分が欠けていますよ。」

『ある有名な道具屋さんで求めたらしいのですが、眉風炉と素焼きの五徳がセットになっていて。その道具屋さんから〝眉風炉は真だから、素焼きの五徳を使う〟と言われたそうなんです・・・。』

 「エッ!? それは無いです。」

・・・・・ナニで有名な道具屋さんなのでしょうか?(ッて、言葉が過ぎましたか?)。

風炉に入り支障なく使用出来るものであるならば、素焼きの五徳でも悪くは無いと思いますが。千家流で《眉風炉には素焼きの五徳》と言い切るとは・・・無い!