2012年08月

寒雉の釜 Ⅰ

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 右の釜は先般通販のページにアップした 初代宮崎寒雉作の福船釜です(その後、お求めの方がお出でになられ削除しました)。一度当代(十四代目) の寒雉氏に見て頂こうと持って行きました。 
 『当家の釜に間違いが無いよ。極箱も親父 十三代)の物だし、蓋も良い蓋が付いているね~・・・・ちょっと待っていて。』 と言われて奥に入られ。
 『家にある初代の釜です。』 と、全く同じ形と地紋の釜を持ってこられました。
暫らく雑談をして宮崎家をあとにしました。
 
宮崎寒雉家は当地・金沢を代表する歴史ある茶の湯釜師の家柄で、全国にもその名が知られています。 その為に贋物も時折目にしますが、一目見るなり明らかに贋物という品も中にはあります。
 
『今度の茶会でこの寒雉さんの お家元好みの釜 を使おうと思うのだけれども。お家元の箱も付いているし。』
 「 んー…先生・・・申し上げ難いのですが、その釜は贋物です。お家元の箱書も贋物です。」
『あらッ!!!』 と絶句をされましたが、
 「〝お家元好写 〟となっていて、お家元(贋物)の箱が無ければ良いのですけれども・・・。」
 「お求めになられたお店に返された方が良いですよ。」
その後、その釜をどの様にされたかは聞いておりません。

 

茶室の畳

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 茶室の畳の大きさについてのご質問が相次ぎました。 部屋を京間に出来ればそれに越した事は無いのですが、四畳半以上の部屋を京間で取ろうとしましても茶室の場合は水屋のスペースも必要となりますので、茶の湯が生活の中心で無い限り、我が国の住宅事情から考えましても居住スペースを削ってでも京間の茶室を造るという事が難しい現状に多く出会います。
 因みに、京間の場合は畳の幅が 955㎜ (縦・1910㎜)で関西以南で使用されている畳で、江戸間は関東地方を中心に使用されている畳で 880㎜(縦・1760㎜)です。中京間と呼ばれる幅 910㎜の畳もありますが、最近では団地間と呼ばれている 850㎜やそれ以下の横幅の畳も良く見かけます。しかしながら茶の湯の点前スペースを考えました時に、江戸間の横幅を切れますと点前そのものや道具の置位置などが大変窮屈で無理が掛かります。少なくとも点前畳の横幅だけは(理想を言えば)京間幅を取れれば良いのですが、その分貴人畳の縦の長さや客畳が狭くなりますのでそこの所も考慮に入れて、出来うる限り畳の横幅を広めに取る事をお奨めしています。

素焼きの五徳?

関東の某茶道具屋さんよりご質問の電話がありました。

『眉風炉に素焼きの五徳を使用しますか? 因みにお客さまは裏千家流の方です。』 と

 「煎茶の方では素焼きの五徳は使用しますが・・・。底の部分が一方欠けていますか?」

『いえ、丸いです。』

 「茶道の五徳は基本的には鉄で、前瓦を差し込めるように前部分が欠けていますよ。」

『ある有名な道具屋さんで求めたらしいのですが、眉風炉と素焼きの五徳がセットになっていて。その道具屋さんから〝眉風炉は真だから、素焼きの五徳を使う〟と言われたそうなんです・・・。』

 「エッ!? それは無いです。」

・・・・・ナニで有名な道具屋さんなのでしょうか?(ッて、言葉が過ぎましたか?)。

風炉に入り支障なく使用出来るものであるならば、素焼きの五徳でも悪くは無いと思いますが。千家流で《眉風炉には素焼きの五徳》と言い切るとは・・・無い!

茶室の話 炉を切る2.

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 本壁の炉壇の場合は木枠の立ち上がりがあるので滅多な事はないのですが。 銅製・ステンレス製や電熱式の炉壇を設置している場合に、時折 炉壇が高めに設置されている事があります。

 『空いた部屋に炉を切りたいので炉壇を持ってきて下さい。炉縁は手元にあるので結構です。』 とのご注文があり、ご用命主様の所へ炉壇をお持ちしました。
 以前に既に一つ炉を切っておいでたようで、そこでお使いの炉縁を 炉を切られる予定の部屋に持って来られました。
   ( ンッ???明らかに炉縁の高さが低い!)
 『この炉縁は脊が高かったので畳の高さに会うようにと炉縁の下を切ったようです。』 とのお客様の言葉です。
「炉縁の高さは2寸2分と決まっています。お客様の家の畳は1寸8分のようですので、4分下った所が炉壇の上面になるように炉壇を設置するものなのですが・・・。」

 通常、畳の厚さは1寸8分か2寸のものですが、最近では3分・4分(10㎝~12㎝)の薄い畳もあります。 何れにしましても2寸2分の炉縁の天が畳上面(うわつら)に合う様に炉壇を設置しなければなりません。

 

茶室の話 炉を切る1.

以前にもホームページ(リニューアル前の)で書かせて頂きましたが、ここ数年 茶室の資料請求やお問い合せ・ご質問が急増しています。 特に私共で取り扱っている普及品本壁炉壇》 の納品が途切れずに続いていますのは、H.P.と口コミのお陰だと喜んでいます。 先週も炉壇のお問い合せがあり、隣県でしたので直ぐに直接配達が出来、炉壇を見て頂き大変喜んで頂けました。 勿論、私自身が炉壇に本壁を塗っている訳ではありませんが、お喜びの声を頂くと内心誇らしく思えます。 

地元の金沢でこの様な炉壇職人の方との出会いがあった事に対して心より感謝をしています。

萬象展 終了御礼

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橋村萬象襲名記念:茶会と秀作展 が無事終了しました。

さすがに、1300年の歴史のある名家です。茶会の為にご持参頂いた掛軸は、鎌倉時代の後鳥羽院上皇からの文机の注文書です。詳しく申し上げますと、後鳥羽院上皇が冷泉家に命じて注文書を書かせて橋村家へ渡ったものです。

萬象氏からの受け売りですが、文の始めに “ 當流 とうりゅう ” とあり、これは自分の家のものだけ(オリジナル)という事で、文台の寸法や形や足の形なども詳しく指定され書かれています。 その文台を制作する為の材は、宮中にあった長柄橋という橋で、それが朽ちてき為にその橋柱で文台を制作せよとの注文書です。 文の中程には、『今後この形の文台は塗りの物であっても蒔絵のものであっても決して作ってはならない』との但し書があります。 元久元年七月十六日とあり、八百年前の文ふみすが、多少のシミがあるとは言え、極めて保存状態の良い軸でした。

今回は三日間 萬象氏より作品制作に関してのみならず、様々な話を伺えて私自身大変勉強になり、且つ刺激を受けました。

茶会や作品展にご参集の皆様方にも心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。